LunaPharmacist

月の裏で会いましょう

カテゴリ: 勉強

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医薬品の副作用に"味覚障害"があるとは思っていなかったので、大変勉強になりました。
ソース:薬の飲みすぎが味覚障害を加速

これまで化学療法や放射線療法の副作用(※正確には治療上生じるイベント)として味覚障害があるのは知ってましたが、普段内服する医薬品でも味覚障害が起きるとは。

味覚障害を引き起こす対象薬物一覧についてPMDA公開による「重篤副作用疾患別対応マニュアル 薬物性味覚障害」に詳しく記載されていたため、こちらを紹介させていただきます。
https://www.pmda.go.jp/files/000145452.pdf


機序は「味覚細胞の破壊による直接作用」というより「キレート作用で亜鉛を捕捉し、吸収阻害による間接作用」とのこと。
そのため、薬剤性の味覚障害に対して、亜鉛欠乏ならポラプレジンク(亜鉛製剤)投与を勧めるのが正解みたいです。
用量についても一日量150mgと、一般的な胃潰瘍と同様の用量で有効性は担保されます。
ソース:味覚障害患者に対するポラプレジンクの有効性


亜鉛欠乏症に対しての処方は添付文書では承認されていませんが、レセプト上で保険使用は認められます。
ソース:https://www.ssk.or.jp/smph/shinryohoshu/teikyojirei/yakuzai/no200/jirei225.html


また、現在ではノベルジン(酢酸亜鉛水和物)が保険適用を取得しているため、こちらを勧めても良さそう。
いつoffするのかは明確なエビデンスがないようですが、治療後1ヶ月までは医薬品で摂取し、そこから食事やサプリメントに切り替えることが推奨されているみたい。
ソース:味覚異常・舌痛への治療薬はいつまで投与すべきか?



実際に患者から味覚障害の訴えがあったら服薬中断を勧めるべきなのか……これが分からない。
関連して、ゾピクロン(ルネスタ)の副作用にある「苦味」は服薬中断すべき副作用ではないし、対策として速やかに飲むことや歯磨きをしっかりすることがあげられますが。
医薬品による味覚障害はポラプレジンクを追加投与すれば、止めなくても良いのかなあ。

そんなことを思うのは、最近味覚障害を訴える患者の経験があったから。
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着色料に用いられる"タートラジン"はアスピリンアレルギーの発作を誘発するとのこと。
タートラジンってなんだよって思いますが、国内では「黄色4号」って名前で用いられています。
こう言われると、スーパーの色素コーナーにあったようなーなかったようなー。


このごろ、様々な都道府県の薬剤師会発信記事が勉強になるな~と思いつつ読んでます。
そのなかにあった記事。
ソース:http://www.akiyaku.or.jp/hyakuyaku/hyakuyaku.html?pmid=1
    https://www.fpa.or.jp/johocenter/yakuji-main/_1635.html?mode=0&classId=12&blockId=40297&dbMode=article&searchTitle=&searchClassId=-1&searchAbstract=&searchSelectKeyword=&searchKeyword=&searchMainText=

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サインバルタの添付文書改訂のニュースを見たところ、新たに副作用の記述が追加されていました。
内容がこちら。
イメージ190504180550
ソース:サインバルタカプセル 使用上の注意改訂のお知らせ
https://www.shionogi.co.jp/med/download.php?h=397cde973de01e437f8d869b5ccc6dbd

異常感……って、どんな症状?


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リモネン
(画像:http://rakuchem.com/limonen.html様より)

ソース:光学活性生理活性化合物-異性体による生理活性の違い-
http://www.ach.nitech.ac.jp/~organic/nakamura/chiral.html

とても面白いサイト(研究室内の記事)があったので紹介!
実はユートマーとディストマーという単語について、薬学教育5年間で一度も聞いたことがなかったので慌てて検索したら出てきたサイトだったり。
皆さん知ってましたか……?
さすがにキラルスイッチや、光学活性体間の生理活性の違いは知ってましたが、そもそもの単語を知らなかったのはマズイマズイ。

リモネンの風味

このなかで取り上げられたリモネンがとりわけ興味深かったです。
リモネンは生薬陳皮の含有成分。
「陳皮=温州みかんの皮」であることから、「リモネンの風味は?」といまクイズ番組で出題されたら迷うことなく「オレンジ!!!」
と答えていたと思います。
ところが、さきほどのサイトを眺めてみると……
(R)-リモネンはオレンジの風味成分であり、(S)-リモネンはレモンの風味成分である。

レモンの風味もあるんか~!!



恥の上塗り

最後に、また無知を晒してみると。
「レボ」Levorotatoryに由来する単語で、左旋性を示すのは知ってた。
ただ、逆に右旋性は?と言われると閉口。
正解はDextrorotatory
L体D体はそんな英単語の頭文字だったんだな~

-rotatoryはrotationで回転っぽいし、LevoはLeftで覚えやすいのに。
なんでDextroはRじゃないんだと、思って調べるとラテン語由来らしい。
……アメトーークで笑い飯哲夫さんが言っていた、
「~~じゃない方!!」
って覚え方をするしかないね!!
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medical_yuketsu
(薬学生・薬剤師のためのヒューマニズムより)

[共通部分]


最善は患者を説得し、救命のために輸血を受け入れてもらうこと。
「患者がそう述べているから」と説明責任を免れようとするのはよろしくないと思われる。

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読んでいてピンとこない単語について、拾って調べて並べました。
参考にしていただけたら幸いです。

1話

「開放骨折」
骨折部位が体表面に突出している骨折。

cf.) 非開放骨折
(ソース:http://www.jrc.or.jp/activity/study/safety/fracture/index.html)

「HCU」
= High Care Unit. 準集中治療室
集中治療室であるICU(IntensiveCareUnit)と一般病棟の中間に位置する病棟。

その位置からもわかるように、ICUで診るには軽度であり、一般病棟に送るには緊急時対応が求められる患者が入る病棟。
cf.) CCU(心臓血管疾患集中治療室), NICU(新生児集中治療室), SCU(脳卒中集中治療室), SICU(外科系集中治療室)
(ソース:https://j-depo.com/news/hcu.html)

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Question:ベピオゲルは既存薬に比べてどの点が優れているか?
Answer:
ベピオゲルは薬剤耐性菌の報告がなく、短時間で殺菌する
既存薬剤耐性菌・バイオフィルム形成菌に対しても殺菌作用がある

(動画URL:https://www.maruho.co.jp/medical/bepio/product/biofilm.html)
bepioger

従来の抗菌薬

薬剤耐性菌の発現が問題となっている(治療効果の低下)
合成阻害による殺菌であるため、増殖期でないと殺菌作用を示さない

過酸化ベンゾイル

薬剤耐性を引き起こさない
増殖期以外でも殺菌作用を示す(即効性あり)
既存薬剤耐性菌・バイオフィルム形成菌に対しても殺菌作用を示す

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Question:眼圧(眼内圧)とは?
Answer:
眼球の形状を保つための圧力。
日本人の平均眼圧は14.5mmHg. 正常の眼圧は10~20 mmHg
ただし、正常眼圧でも緑内障である可能性も否定できない。


薬学生が必ず覚えている「疾病による薬剤の服用禁忌」の最たる例に、抗コリン薬の禁忌があります
いわゆる「抗コリン薬は眼圧の上昇をもたらすため緑内障禁忌」ですね
添付文書上の記述では、[眼内圧を高め、症状を悪化させることがある]となっております。

緑内障だけでなく、前立腺肥大症の患者への禁忌も同様に抗コリン作用にもとづきます。

引っ掛け問題で問われるのは「眼圧の上昇or低下」ですが、そもそも「眼圧とはなんぞや?」と気になりました。
血圧は140mmHg/90mmHg以下を目指すもの。
ならば、眼圧はいくつが正常値?

これらの疑問について、説明できなかったので調べました。
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A.)阻害しない


が正しいかなと。
陳皮含有生薬とCYP3A4代謝薬を併用した場合のAUCやCmaxを調べた研究がなかったため、あくまで憶測です。
ご存知の通り、グレープフルーツには果皮にも果肉にもフラノクマリン類と呼ばれる成分が含まれております。
これが体内の薬物代謝酵素の一つであるCYP3A4を阻害することで、薬物が体内で消失することなく濃度が上がってしまい効果が強く出てしまう。
よく槍玉に上がるのは高血圧薬のCA拮抗薬であるニフェジピンやアムロジピン。
他にも精神系領域のおくすりはCYP3A4で代謝されるものが多いので、飲酒を控えることと合わせて摂取を控えるように指導されることと思われます。

なら、フラノクマリン類は柑橘系全てに含まれているのか?

正解はNo.

愛媛大病院の薬剤部の方がまとめたpdfがあるのでそちらを参考に。
(http://www.hsp.ehime-u.ac.jp/medicine/wp-content/uploads/DINEWS20120301.pdf)

温州みかんははっきりと相互作用がないとされています。
よって、タイトルの答えは阻害しないが正しいです。


たまたま、漢方の歴史の中で「温州みかん」が「陳皮」として生薬に用いられたので問題はありませんでした。
もし、「夏みかん」や「はっさく」が陳皮として用いられていたら。
薬剤師の処方監査で「このおくすりは今出てる生薬と相互作用を引き起こすので疑義照会」といったことになった、かも?

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roujinsya_couple
ソース:サルコペニア:定義と診断に関する欧州関連学会のコンセンサス―高齢者のサルコペニアに関する欧州ワーキンググループの報告―の監訳

町中で見かけるおじい様やおばあ様がよぼよぼと腰を丸めてのろのろと歩いている。
それは好きでそのようにゆっくり歩いているからではなく、早く歩くことができないから。
筋肉が衰えてキビキビ動くことも、姿勢を維持することも辛いため。
そんな「年齢と関連して筋肉量が低下した状態」「サルコペニア(sarcopenia)」といいます。
ギリシャ語においてsarxは筋肉、peniaは喪失を意味します。

サルコペニアは1989年に提唱された概念で、まだ日も浅く定義すらも浮ついたものでした。
そんなサルコペニアに対し、欧州のグループ(EWGSOP)から臨床定義と診断基準の統一見解が出され、のちに日本語訳も提出されました。
冒頭に挙げた「歩行速度の低下」なんと診断基準に含まれているんですよ。
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これに関してソースのQ&Aに乗っている、面白い質疑応答があります。皆さんもできる診断基準です。
診断にある歩行速度0.8m/s以下を見分けるために、横断歩道の青信号は1.0m/sで渡りきれるように設計されているそうなのです。
なので、横断歩道を青信号の間に渡りきれていないとこの疑いが。
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また、若者の横断歩道における平均歩行速度が1.5-1.6m/sとのことだそうですから。
長い横断歩道で一斉に歩き出したとき、若者が渡りきったあとにまだ半分も進めていないとサルコペニアではなかとちょっと疑いがかかります。

サルコペニアは高齢者によく見られ、複数の要因から発症するうえに身体的・健康的障害に繋がることから老年症候群として数えられます。
運動障害、転倒骨折の危険増大、ADL低下、自立性喪失、死亡率上昇などなどに繋がってしまいます。
そして、認知症や骨粗しょう症と同様に若年成人でも発症してしまうことがあるそうです。
筋肉量の低下」を前提とし、「筋力の低下」または身体能力の低下」と複合して診断され、後ろ2つがないとプレ、すべて合致していると重症と診断されます。


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