薬剤師のひみつ
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表紙が少し古めかしいですが今年刊行されたものです。3年以内ならネット上で全ページ読むことができます。
煩わしい会員登録など一切不要です。
本来は小学校などへ寄贈されるものなので、読む機会は少ないと思われますしこの機会に眺めてみるのはいかがでしょうか?

漢方のひみつ」や「ドラッグストアと調剤のひみつ」も同じく今なら全ページ読めます。
「子供向けの内容でしょう?」と侮ることなかれ。
わかりやすく噛み砕いているおかげで読みやすく、要所要所で重要な話題はしっかり細かく拾い上げられており、内容密度はギュギュッと濃いです。

読む前の素直な感想として「まだ出版されてなかったんだ」という驚き。こういった「○○のひみつシリーズ」は職業に限らず、私が小学生のときからいくつかあって図書館で読むのが好きでした。
そのなかで薬剤師はまだなかったようです。
そのことに関して読み進めていくと驚くべきことに、といったら失礼かもしれませんが……
なんと「チーム医療」「在宅医療」といったこれからの薬剤師(6年制)に求められる大切な役割が開幕の二章でしっかり流れに沿って述べられています。
これらにおける薬剤師の役割については、正直なところ現場でも知らない人が多い内容です。
退院カンファ・在宅チームにおける薬剤師の意義はその効果をまとめた論文が出るほどに、ほぼ知られておりません。
もし10年前(6年制導入前)に刊行していたらこの内容は含まれていなかったはず。この点において、今年刊行されたことに感謝した方が良いのかもしれません。
他にも旬な内容といえば「震災時における薬剤師の役割」「薬局での服薬指導」「スポーツファーマシスト」なども含まれています。

「薬学の歴史」では天然痘ワクチンを発明したジェンナー、日本でマオウからエフェドリン抽出を成功させた長井長義が中心に取り上げられています。
日本における薬学教育の礎を築き上げたのがこの長井長義さんだということを知らなかったのでとってもためになりました。
こういった歴史は知識として軽く知ってはいたものの興味はなかったのですが、作中の登場人物が熱狂的に語っているのを見ると興味が湧いてついつい気になって調べちゃいますね。


薬学生としてなら当たり前、でも他学部の人や世間の方々が知らない「創薬や製薬のこと」「薬学部のこと」についても取り上げられている立派で贅沢な本です。